家屋の売却に伴う遺品整理をご希望のお客様に、出張買取をご利用頂きました。
写真のお品物は、今回お譲り頂いた、和楽器・薩摩琵琶です。
腹板のみ桑製で三日月型の音穴と猪の目は象牙製。
弦は4本、絃を支える柱(フレット)が5本の作りになっています。
 
サイズ / 幅33cm・全長93cm
四弦五柱・片桑

薩摩琵琶の歴史

仏教の祈祷や法事などに用いられた宗教音楽「盲僧琵琶」は、室町時代に、九州の薩摩国や筑前国を中心に中国から伝えられた。
薩摩国の島津家の中興の祖といわれる島津忠良が、藩士の教養の為にこの盲僧琵琶を改良し、「薩摩琵琶」へと発展させた。
忠良は、歌や舞、音楽や曲を口ずさむことは風紀を乱すとして禁止令を出し、その一方で、侍踊りは歌や舞では無く、琵琶、天吹は音楽や曲では無いとして、侍踊り、薩摩琵琶、天吹は武士のたしなみとされた。
忠良は、儒教や仏教などの教えを説いた「迷悟もどき」「武蔵野」や、道徳的な内容を詠った「島津日新公いろは歌」の要素を盛り込んだ曲を流行らせ、宗教的な用途や、武士道、青少年の教育、士気の鼓舞などに活用されるようになり、薩摩琵琶の価値を上げることに成功した。
武士の間で詠われた質実剛健な薩摩琵琶は、「士風琵琶」と称された。
江戸時代には、合戦を歌った「木崎ヶ原合戦」などの曲が作られ、武士だけでなく、町民の間でも流行するようになった。これが「町風琵琶」の起源である。
江戸時代末期には、薩摩琵琶の名手「池田甚兵衛」が、「士風琵琶」と「町風琵琶」を融合させ、今日の薩摩琵琶の様式を確立した。
明治時代になると、薩摩藩が政治に台頭してきたことにより、薩摩琵琶が東京へ進出した。
明治天皇が愛好したことにより薩摩琵琶の御前演奏が盛んに行われ、これを期に評判が高まり、東京を中心に隆盛期を迎えた。
「戦国武将が創始した武士の音楽」というイメージは、江戸時代の三味線音楽を俗曲として退け、「武士道」に理想を求めた明治時代の人々の心を捉えたのだった。
この頃活躍した演奏家、「西幸吉」「平豊彦」「須田綱義」「吉水錦翁(経和)」らは、みな薩摩出身である。
明治後期、東京の薩摩琵琶の演奏家である「永田錦心」が「錦心流」を開き、大正から昭和初期にかけて最も人気を博した。
以降、伝統的な在来の薩摩琵琶は「正派」と呼ばれるようになった。
昭和初期には、錦心流の「水藤錦穣」が四弦四柱の琵琶を、五弦五柱に改良した錦琵琶を生み出し、新たな薩摩琵琶の流派「錦琵琶」として分派した。
第二次世界大戦以降、鶴田錦史が錦琵琶を元に「鶴田琵琶(鶴田流)」を創始。
今日、薩摩琵琶は「正派」「錦心流」「錦琵琶」「鶴田琵琶」の四派に大きく分かれている。

薩摩琵琶の継承

昭和に入ると、戦後の混乱や社会情勢の変化により、薩摩琵琶は衰退の道を辿っていく。
ついに昭和30年代、琵琶を制作する職人の老齢化により、鹿児島県内における琵琶制作者が途絶えてしまった。
これに危機感を抱いた鹿児島県の薩摩琵琶同好会が、当時の鹿児島県木材工業試験場と共に、琵琶制作の復元と復活に取り組んだ。
昭和40年代には、古武道家の塩田次郎が技術を学び薩摩琵琶を復活させるが、高齢のため亡くなってしまった。
その後、薩摩琵琶同好会が木工の彫刻家など様々な者に協力を呼びかけ、材料として使われる希少な桑の木などを確保し、薩摩琵琶制作の復活へ向けて動き始める。
しかし、その直後に木材工業試験場が解体され、琵琶制作が一時中断してしまう。
平成28年には、後継者育成を目的とした「薩摩琵琶制作研究の会」が発足され、薩摩琵琶同好会、鹿児島県工業技術センター、鹿児島大学、国立高専、木工作家などから成るおよそ20名のメンバーが所属している。
文化、歴史、制作技術を探求し、古い音源のデジタル化や、医療関係者の協力を得て古い薩摩琵琶のCT画像を撮影し、解析、図面化したり、全国で唯一の薩摩琵琶製作者を東京から招いた勉強会なども開催している。
様々な角度から薩摩琵琶の調査、研究を進め、試行錯誤を重ね、現在までに数個の薩摩琵琶を完成させている。

楽器・薩摩琵琶

名前のわかる薩摩琵琶の楽器製作者としては「新穂甚兵衛」が最も古く、甚兵衛が天保7年に制作した琵琶「秋月」は、明治16年の御前演奏で使用されている。
19世紀初頭から天保7年までの約30年間に、現在のような薩摩琵琶の楽器の形ができあがっていたものと思われる。
全長約90cm、弦が4本、絃を支える柱(フレット)が4本あり、一番上の柱と二番目の柱の間が長く、琵琶の音を大きくするため腹板が大きく膨らんでいる。
琵琶は、弦蔵(ヘッド)が後方に直角に曲がっているのが特徴であり、薩摩琵琶は四柱(フレット)が高いのが特徴である。
薩摩琵琶の材料は桑の木が最も適しており、全体に桑才を用いた「総桑」と呼ばれる琵琶が最上とされている。
腹板(表側)のみ桑才を使用し、裏板に欅などを用いた琵琶は「片桑」と呼ばれる。
撥は扇型で両裾は20cm程で両端が尖っており、かつて武士が戦場で弾奏中に敵の襲撃にあった際、この撥を武器として代用したという説もある。
撥はつげ材で作られたものが最上とされている。
 

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