鳥海青児

ちょかいせいじ

Seiji Cyokai

1902年〜1972年

神奈川県大住郡須賀村（現・神奈川県平塚市）

作家・作品ジャンル

画家

鳥海青児 / 洋画家
中学時代から洋画を始め、関西大学時代に春陽会展に出品。同志と麓人社を結成し、絵画勉強に励む。1930〜33年、ヨーロッパに滞在し、ゴヤやレンブラントの作品に強い影響を受け、個性的な作風を形成。1943年、春陽会退会。独立美術協会に転じ、以後、独立展の重要な作家として活躍。1956年、第6回文部大臣賞受賞。芸術選賞受賞。

History

1902年: 神奈川県大住郡須賀村（現・神奈川県平塚市）に生まれる。本名、鳥海正夫。

1908年: 4月、須賀村立須賀小学校入学。

1914年: 3月、須賀小学校卒業。

1916年: 私立藤嶺中学校（現・藤沢中学校）第2学年に編入。

1917年: この頃、小遣いで油絵具を買って油絵を描き始める。藤沢中学の絵画教師・金子保（新世紀会員）に指導を受ける。; 逗子開成中学生だった所宏を知る。

1921年: 3月、藤沢中学卒業。; 三高受験のため芦屋の義兄・平林正二郎宅に移ったが、受験に失敗し、関西大学経済学部に入学。

1922年: 当時流行した姓名判断に従って青児と名のる。（鳥海談）

1923年: 芦屋の義兄・平林氏宅から関西大学に通学していたが、第1回春陽会入選発表の中に所宏（中学時代の友人）の名を見つける。このことが刺激となって、翌年から春陽会に応募することを決意する。

1924年: 第2回春陽会（東京三越）に『洋女を配するの図』『平塚風景』（神奈川県立近代美術館蔵）の2点が初入選。; 横堀角次郎、三岸好太郎、土屋義郎、斎藤清次郎、川端信一、倉田三郎、鳥海青児で麓人社を結成。第1回展を開催（8月1日〜10日、村田画房）40点陳列。; この年、横堀角次郎を知る。

1926年: 関西大学経済学部卒業。岸田劉生より冬菜の画号を贈られる。

1928年: 第6回春陽会に『水無き川』『裸婦』『芦屋風景』を出品、第6回春陽会賞受賞。

1929年: 第7回春陽会『裸婦立像』『裸婦』『北海道風景』『ポプラ』『札幌郊外』を出品。『北海道風景』など、第7回春陽会賞受賞。

1930年: この年より、春陽会無鑑査となる。; この春、大阪にいる建築家の友人とヨーロッパに出発。最初、モロゾフ・シチューキン・コレクションを見るためにモスクワに向かい、約2週間滞在。その後、ベルリンにいる友人百々巳之助を訪ね、同地に2カ月滞在。マルセーユへ義兄・平林正二郎を迎えに出発、途中ストラスブールとミュンヘンに寄る。マルセーユから平林氏とスイスのレマン湖に向かう。9月まで滞在し、パリに入る。; パリではアルジェリア占領100年記念行事の一つであったドラクロア回顧展を見てアルジェリア行を決意。その後、約1年半アルジェリアで生活し、ブリダを主拠点として、ローマ移籍のティムガド、サハラ砂漠の街・ビスクラやブッサダなどを旅行。

1931年: 一度パリに戻る。ロートレックの回顧50年展を見る。

1932年: パリを拠点にアルジェリア、モロッコ、スペインに旅行。プラド美術館、トレドなどを見てパリに帰る。この時、ゴヤのサン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ寺院のフレスコ画とプラド美術館のキンタ・デル・ソルド（聾の家）の壁画を見て強い衝撃を受ける。その後、ゴヤがレンブラントの系譜につながることを感じて、アムステルダムにレンブラントを見に行く。; この頃アントワープ、ブリュッセルにたびたび旅行し、宮田耕三氏を知る。

1933年: ヨーロッパから帰国、春陽会会員に推薦される。第11回春陽会に滞欧作23点を出品。

1934年: 砂を絵具に混ぜて使用した作品を春陽会に出品。いわゆる日本的でない作家の一人と言われる。

1936年: この頃、絵が汚いと評判される。

1937年: この頃から鳥海青児画風の追随者が見られるようになり、「春陽会内に新たな空気を生み出した」と言われる。

1939年: この頃から古美術蒐集を始める。最初は、初期肉筆浮世絵、春章の芝居絵など、浮世絵版画では清倍の立姿などがあった。

1942年: 古美術関係では仏画、藤原鎌倉時代に興味を持ち始める。

1943年: 春陽会を退会、独立美術協会員に推挙され、この年から独立展に出品。第

1946年: この頃、友人が持っていた長次郎の「あやめ」の銘の茶碗を見たのがきっかけで、陶器に関心を向けるようになる。

1947年: 2月頃、小山冨士夫を訪ねた会津八一が鳥海青児のデッサンを見て、「どうしてもこの作家に会いたい」と言って鳥海宅を訪ねて歓談する。

1952年: 古美術は平安朝の仮名（古筆）に興味を持つようになる。

1956年: 『顔をかくす女』『家竝』にて第6回文部大臣賞受賞。芸術選賞受賞。

1957年: 4月、第2回のヨーロッパ旅行に出発。フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、スペイン、イタリアを回り、10月に帰国。原精一が同行。

1958年: 第3回現代日本美術展に『武装した馬（ピカドール）』『ピカドール』を出品、最優秀賞受賞。; この時、前年の1957年のヨーロッパ旅行中、スペインで闘牛を見て、闘牛士やピカドールのデッサンを多数描いている。ピカドールのいくつかのデッサンを見ていると、写実的な人馬が次第に一つの観念に収斂していく過程がよくわかる。色彩については「ピカドールでは、自分の持っている色をいろいろ多角的に追求してみたかった」と、青児は語っている。

1968年: 小説新潮の表紙を12カ月描く。

1972年: 6月11日、逝去。70年の生涯を閉じる。

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