今回ご紹介するのは、竹工芸の名匠・初代竹雲斎(ちくうんさい)の手による花入です。
竹の美しさを最大限に生かし、茶道具としても高く評価されている逸品です。
花入とは、生け花や茶道の世界で使われる、花を活けるための器のこと。
一般的には陶磁器や金属製の花器が多いですが、竹製の花入は日本ならではの風情を持ち、特に茶室などの和の空間によく馴染みます。
竹の花入の魅力は、素材そのものの自然な美しさを活かした造形と、時間とともに味わいが増す点にあります。
竹は使い込むほどに色合いが深まり、経年変化を楽しむことができるのです。
また、竹は丈夫で軽く、扱いやすいという特徴もあり、古くから茶人たちに愛されてきました。
竹の花入には、大きく分けて「生(なま)竹の花入」と「編み込み技術を使った籠(かご)花入」の2種類があります。
生竹の花入は、竹の節や形を活かして作られ、素朴ながらも凛とした佇まいが特徴です。
一方、籠花入は竹を細かく編み込んで作られるため、繊細な技術と美しい模様が際立ちます。
初代竹雲斎の花入は、これらの技術を駆使しながらも、竹本来の質感と造形美を大切にした端正な作りが特徴です。
彼の手による作品は、茶室の一角に静かに佇みながらも、そこに活けられる花を引き立てる名品です。