岡鹿之助

おかしかのすけ

Oka Shikanosuke

1898年〜1978年

作家・作品ジャンル

画家

岡鹿之助 / 洋画家
東京・麻布生まれ。1924年、東京美術学校西洋画科卒業。25年渡仏。パリで藤田嗣治に師事し、絵具を混色しない点描風の技法を修得。39年帰国。古城やパンジーなどをモチーフにした独自の画風を展開。52年芸能選奨文部大臣賞、57年毎日美術賞、64年日本芸術院賞など、数々の賞に輝き、69年日本芸術院会員、72年文化勲章を受章。

History

1898年: 7月2日、東京市麻布区に生まれる。劇評家・岡鬼太郎（本名・嘉太郎）の長男。

1903年: 4月、東京・麻布尋常小学校に入学。

1911年: 3月、麻布尋常小学校を卒業。卒業をひかえて担任教師から将来の志望を聞かれた時、画家になることを意識する。; 4月、麻布中学に入学。

1912年: 麻布中学校2年生の時、父の知人・岡田三郎助に素描を学ぶ。

1919年: 東京美術学校西洋画科に入学。在学中は美術学校のアカデミックな画風に反発を感じてあまり登校せず、アトリエに籠ることが多かった。

1921年: この年より、岡田三郎助の教室で学ぶ。

1924年: 3月、東京美術学校西洋画科卒業。卒業製作は『自画像』（東京芸術大学芸術資料館蔵）。; 12月、美術学校5年在学中の南城一夫と共に渡仏。

1925年: 2月、パリ着。その後、師・岡田三郎助と小山内薫からの紹介状をもって藤田嗣治を訪ね、藤田からは絵のみならず、パリでの生活についてもあたたかい指導を受ける。; 秋、藤田の勧めによってサロン・ドートンヌに『風景』を初めて出品、入選。以降、サロン・ドートンヌには毎年出品し、後に会員となる。; サロン・ドートンヌの展覧会場で、フランス画家の絵が、いずれも絵具がカチッとキャンバスについていて、色にはりがあり、冴えているのを目にし、大きな衝撃を受ける。そして、顔料、キャンバスに関する研究にとりかかり、色を混ぜ合わさず並列させていくことで、印象派よりももっと画面を鮮明に表す点描的な技法を習得する。

1927年: この頃、「描法がスーラに似ている」と言われていたが、まだスーラはフランスでも注目されてはおらず、鹿之助が初めてスーラの作品を知ったのは、当時ルクサンブール公園にあった美術館を訪ねて、そこに掛けられていたスーラの『シルク』を見た時である。

1928年: パリでの先輩画家・斎藤豊作の知遇を受け、しばしばサルト県リュッシュ・プランジュ村にあった斎藤氏のベンベル古城に招かれ、そこで制作に励む。

1929年: ベルギーのブリュッセルで開催される日本人画家展のため、ベルギーへ旅行。日本人画家展に『Port』『Sous la neige』『燈台』を出品し、『Sous la neige』はベルギー国立美術館買上げとなる。

1931年: この頃、パリではボナール、ラブラード、ザッキン、マルケ、ピエール・ロワなどと交流し、またアスランの知遇も受けたが、特に同先輩のシャルル・ヴァルシュと親交を深めた。

1939年: 9月、第2次世界大戦勃発。菊池一雄、宮本三郎、高田力蔵、角浩、田近憲三、中村光夫などの在仏作家とともに、海外日本人引揚船となった日本郵船鹿島丸になかば強制的に乗船させられ、イギリス、アメリカを経由して12月に帰国。; 急な引揚げのために10数点の作品を除いた日記、素描など一切の制作資料はパリで処分しなければならず、詳細な記録を失う。

1940年: 春陽会に会員として招かれ、4月、第18回展に滞欧作12点を発表。

1942年: 帰国後の制作は日本の風景、建築物にモチーフを求めるようになるが、堅牢な構成と形体の特殊性を追い求めて、信号台、灯台、発電所のような特殊な建築物に眼を向けていく。

1943年: この年、春陽会は文展に参加していたため、中川一政らと文展審査員として同展に参加出品（官展出品は、この年のみ）。

1944年: 4月、春陽会22回展に『三色菫』を出品。この頃から、三色菫が主要なモチーフに選ばれるようになる。; 9月、美術展覧会取扱要綱に従って、一般公募展は禁止され、美術団体の解散が始まる。

1945年: 戦況が激化し、ほとんどの展覧会は中止されたが、8月の戦争終結によって、各種の美術統制は解消された。

1949年: 9月、著書『フランスの画家たち』（中央公論社）を出版。フランス滞在中に親しく交流した人々、また、学ぶべきことの多かった画家たちについて雑誌「みづゑ」などに掲載した原稿をまとめたもの。

1952年: 3月、前年度の第5回美術団体連合展出品の『遊蝶花』、その他に対し、芸能選奨文部大臣賞を受賞。

1953年: 10月、著書『油絵のマティエール』（美術出版社）出版。雑誌「美術手帖」に数年間連載した原稿をまとめたもの。

1956年: 5月、第2回現代日本美術展に『雪の発電所』を出品、最優秀賞を受賞。本作は、雪の志賀高原を旅行した際、目にした発電所の実景と、鹿之助の構想との一致から生まれたもの。

1957年: 1月、『雪の発電所』（前年現代日本美術展出品作）により、毎日美術賞を受賞。; 盛岡地方および発電所の多い信州の上田周辺を巡り、この旅行から『山麓』などの作品が生まれる。

1962年: 5月、第5回現代日本美術展に『群落(A)』『群落(B)』を出品、後者が東京国立近代美術館買上げとなる。

1964年: 5月、前年の日本経済新聞社主催「岡鹿之助展」の出品作および多年に亘る業績に対し、日本芸術院賞を受ける。

1968年: 12月、日本芸術院会員となる。

1972年: 11月、文化勲章を受ける。

1978年: 4月28日、心不全のため逝去。80年の生涯を閉じる。

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