アンディ・ウォーホル

あんでぃー・うぉーほる

Andy Warhol

1928年〜1987年

アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグ

作家・作品ジャンル

アンディ・ウォーホル／アメリカの芸術家
　「ポップの王」と呼ばれた、アメリカの芸術家。1950年代は商業イラストレーターとして成功を収め、1960年代には代表作の『キャンベル・スープ缶』や『マリリン』を制作。1970年代には上流社会相手の肖像画家として評判となり、芸術的革新と生産性を発揮する。作品は絵画だけでなく、彫刻、版画や映像、音楽など多岐な分野にわたる。

History

1928年: 　9月28日、アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグに生まれる。

1945年: 　ピッツバーグ・シュンレー高校卒業後、カーネギー工科大学入学。絵画デザイン課程を専攻。

1949年: 　絵画デザイン美術学士号を得てカーネギー工科大学卒業。; 　「グラマー」誌、タイバー・プレス、コロンビア・レコード、「ヴォーグ」誌、「ハーパース・バザー」誌、I・ミラー、ティファニーなど、さまざまな雑誌、デパート、レコード会社に広告のイラストを描く（1960年）まで。; 　そのほか、ニュー・ディレクションズ社の本の装丁、ボンウィット・テラーのユージン・ムアのウィンドウ・ディスプレー、クリスマスカードや便箋のデザインなども手がける。

1951年: 　アート・ディレクターズ・クラブのグラフィック・デザイン・メダルを初めて受賞。; 　ウォーホルがグラフィック・デザイナーとして成功する鍵となったのが、カーネギー工科大学で学んだ「ブロテッド・ライン」という独特の技法である。この技法は、まず耐水性のある紙に元になる線画を描き、それを助手がぬらして別の紙に写し、手で色をつけるという「複製技術」の一つで、イラスト作成ビジネスにとって必要不可欠であった。; 　ウォーホルの1950年代のイラストはこうした線画が主流で、ところどころにじんだ、細かく装飾的な線で描かれたイラストは、様式化されながらもダイナミックな力を持つ画面を生んだ。; 　『靴（スタンプによる）』（アンディ・ウォーホル美術館蔵）は、1950年代の作品。

1956年: 　I・ミラー社の靴広告で第35回アートディレクターズ・クラブ賞優秀賞を受賞。

1957年: 　I・ミラーの靴と帽子の広告で第36回アートディレクターズ・クラブ・メダルと同優秀賞を受賞。; 　アンディ・ウォーホル・エンタープライズ社設立。;

1962年: 『32個のキャンベル・スープ缶』（ニューヨーク近代美術館蔵）を制作。本作はウォーホルの代表作であり、本人のお気に入りでもある。ウォーホルは自身のキャリアを振り返り、「『キャンベル・スープ』だけを描いて、それだけずっと続けていればよかったかもしれない……何と言っても、誰だって絵は1舞しか描けないんだから」と述べている。; 　同年はポップ・アートが主要な新しい芸術運動として誕生した年で、シドニー・ジャニス・ギャラリーで行われた歴史的な展覧会「ニュー・リアリスト展」にも2点のスープ缶が展示された。; 　フェラス・ギャラリーでの『キャンベル・スープ缶』の展示を通して、ウォーホルはシリーズで作品を制作することの可能性と、図像の反復が生む視覚効果に気づく。その後も『スープ缶』のバリエーションを描き続け、1つのカンヴァスにステンシルで缶をいくつも描くなど、食料雑貨店に積まれた商品のような効果を強めようとした。また、ウォーホルは、図像を反復するとその図像が持つ意味が失われることにも気づいたという。; 　同シリーズは、ウォーホルが機械的な外観を求めて手描きの絵画から版画制作に映るきっかけとなり、次第に商業的版画へと近づいていく。; 　『マリリン』（プリンストン大学美術館蔵）制作。同年8月5日、マリリン・モンローが自殺した事件に有名人と悲劇の融合を見て、大衆文化の遺恨（いこん）的存在や製品を映し出したいという野望を持ったウォーホルは、かつてない大規模なシリーズとして何千枚にも及ぶマリリンの絵や版画の制作に取り掛かった。塗られた色とプリントされた部分のずれがダイナミックな画面を生み、色彩の幅広さが作品にさらなる力を与えている。; 　本作では、版画刷り師から教わった写真製版による「シルクスクリーン」技術が用いられており、この作成方法は、その後、さらに極められていく。

1963年: 　「ハーパース・バザー」誌の記事のために、スピード写真を用いるようになる。; 　16ミリのボレックス・カメラを購入し、最初の映画『ターザンとジェーンの復活……といったもの』を制作。

1964年: 　映画『エンパイア』を撮影し、「フィルム・カルチャー」誌のインディペンデント映画賞を受賞。

1965年: 　パリのソナベンド・ギャラリーで行った「花」の展覧会で、画家としての引退を表明。;

1966年: 　映画制作初の公開作品『チェルシー・ガールズ』が全米で公開され、大ヒットとなる。

1967年: 　ストックホルム近代美術館で、ヨーロッパの美術館としては初のウォーホルの企画展が行われ、アムステルダム市立美術館とベルン美術館を巡回。

1968年: 　6月3日、SCUM（全男性抹殺団）の創設者で唯一のメンバー、ヴァレリー・ソラニスに銃で撃たれ、重症を負う。

1971年: 　ポラロイドカメラSX70ビッグショットがリリースされたのを受け、ポラロイドカメラを試すようになり、1970年代の肖像画制作では主要な道具となる。

1972年: 　再び絵を手掛け、有名人の肖像画を中心に描くようになる。

1977年: 　写真を縫い合わせた「縫合写真」シリーズをはじめ、1986年まで制作を続ける。;

1978年: 　『酸化絵画』（ブルーノ・ビショフベルガー・ギャラリー蔵）と『影』（アンディ・ウォーホル美術財団蔵）の制作をはじめ、キャリアは新たな段階に到達。; 　『酸化絵画』は、カンヴァスに人間の尿をかけたもので、メタリックペイントと尿に含まれる酸の化学反応によって抽象画を描く方法を用いている。; 　『影』は、マットボードを並べて影が長く伸びるようにスポットライトを当ててポラロイドカメラで写真を撮り、何枚かを選んでシルクスクリーンに用いるアセテートにし、さまざまな色合いの絵具をモップで塗りつけ、その上に影の写真をスクリーンでプリントしたものである。評論家たちは、「ここ数年のウォーホルの最高傑作」と称賛した。;

1987年: 　2月22日、ニューヨークで胆嚢の手術を受けるが、合併症のため、58歳の生涯を閉じる。

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