国吉康雄

くによし　やすお

Yasuo Kuniyoshi

1889年〜1953年

岡山県岡山市

作家・作品ジャンル

画家

国吉康雄 / 画家
　17歳で単身渡米。ケネス・ヘイス・ミラーに師事。1929年、ニューヨーク近代美術館主催「十九人の現存アメリカ作家絵画展」の一人に選ばれる。『飛び上ろうとする頭のない馬』がノーマン・ウエイト・ハリス青銅牌賞を受賞。1947年、アメリカ美術家組合初代会長に就任。1948年、ホイットニー美術館で現存作家初の回顧展が開かれた。

History

1889年: 　岡山市中出石町（現・出石町1丁目）に生まれる。

1896年: 　岡山市弘西小学校（4年制）に入学。同小学校卒業後、内山下高等小学校（4年制）に進む。

1904年: 　内山下高等小学校卒業後、岡山県立工業学校染織科に入学。;

1906年: 　7月、同工業学校を中退し、英語の習得を目的として単身渡米。現地で鉄道工夫、ホテルのボーイ、農業労働者などをしながら生計を得る。

1907年: 　ロサンゼルスにて、雑役をして生計を得ながら、英語の習得を兼ねて公立学校の夜学に通う。そこで画才を見出され、ロサンゼルス美術学校の夜学に入って3年間絵を学ぶ。

1910年: 　9月、画家を志してニューヨークへ赴く。ナショナル・アカデミー、ヘンリー・スクールを転々とする。

1914年: 　ニューヨークのインディペンデント・スクール・オフ・アートに入学し、2年間学ぶ。

1916年: 　秋、アート・ステューデンツ・リーグに入学。ケネス・ヘイス・ミラーの指導を受ける。学友にアレキサンダー・ブルック、レジナルド・マーシュ、ペギー・ベーコン、キャサリン・シュミッドらがいた。

1918年: 　ニューヨーク郊外のウッドストック夏期学校で短期間学ぶ。最初の『自画像』を描く。

1922年: 　1月、ダニエル画廊で第1回個展開催、アメリカ画壇進出への第一歩を印す。以後、1929年を除いて、1931年に同画廊が閉鎖されるまで毎年個展を開く。; 　独立美術協会から分離したサロンズ・オブ・アメリカの委員となり、1938年までその地位に止まる。また、反アカデミーの中心的組織であるホイットニー・スチューディオ・クラブの会員となる。; 　『夢』を制作。

1925年: 　4月、最初のヨーロッパ旅行に出発。フランスとイタリアに10カ月間滞在し、翌年2月にニューヨークに戻る。

1928年: 　2度目のヨーロッパ旅行に出発、イギリス、フランス、スペインに6カ月間滞在。この間、パリでパスキンに再会し、彼の手引きでユトリロ、スーチン、ピカソらに会い、彼らの作品から感銘を受け、やがて作風の変化を見せることになる。; 　また、フランス滞在中に多数のリトグラフを制作する。

1929年: 　ニューヨーク郊外のウッドスタックに家とアトリエを建て、以降、毎年夏期はそこで制作をする。; 　12月、ニューヨーク近代美術館主催の「十九人の現存アメリカ作家絵画展」の一人に選ばれ、アメリカ画壇に地歩を築く。; 1931年; 　帰国。; 　10月、ピッツバーグの第30回カーネギー国際展で『寝椅子の上のがらくた』が佳作賞を受ける。

1933年: 　母校のアート・ステューデンツ・リーグで教鞭をとり、後進の指導にあたる。

1934年: 　1月、ペンシルヴェニア・アカデミー・オブ・ファイン・アーツ主催の第129回アニュアル展で『卓上の果実』がテンプル・ゴールド・メダルを受賞。; 　5月、ロサンゼルスのカウンティ美術館主催の第15回アニュアル展でも2等賞を受賞。

1936年: 　ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの教授となり、1953年まで務める。

1937年: 　アメリカ美術家会議の中央執行委員となり、1940年まで務める。また、同会議の展覧会委員長となる。

1938年: 　アメリカ美術家会議の5人の副議長の一人となる。

1939年: 　アメリカン・グループの会長となり、1944年まで務める。; 　ピッツバーグの第37回カーネギー国際展で2等賞を受賞、サンフランシスコのゴールデン・ゲート国際展のアメリカ部門で1等賞を受賞。

1944年: 　1月、ペンシルヴェニア・アカデミー・オブ・アーツ主催の第139回アニュアル展ででヘンリー・シャイト記念賞を受賞。; 　3月、リッチモンドのヴァージニア美術館主催の第4回現代アメリカ絵画ビエンナーレ展で『ネヴァダヴィル』が買い上げ賞となる。; 　10月、ピッツバーグのカーネギー全米絵画展で『110号室』（ネブラスカ・リンカーン大学蔵）が1等賞を受賞。; 　同10月、民主主義のための日系米人芸術家協議会が創立され、その会員となる。

1945年: 　シカゴ・アート・インスティチュート主催の第56回アニュアル展で『飛び上ろうとする頭のない馬』（大原美術館蔵）がノーマン・ウエイト・ハリス青銅牌賞を受賞。; 　飛び上ろうとする頭のない馬』は、風景と静物を一つの画面に実現させたユニークな作品で、空を高くとり、山並の連なる高原を背景として、メリーゴーランドの頭のない木馬が十字架にかかって空に飛び上ろうとしている図。社会性や人間性を強調しながら、現実生活を通じて絵画造形を求めていた国吉が、やがてそれからワン・クッションしてシュールレアリスムの作風にも眼を向けたことは注目される。こうした作風の変化も見せながらも、画家の内面の世界を表象するという基本的な態度は一貫しており、本作には戦争に対する感情の屈折が現れている。

1947年: 　アーティスツ・エクィティの初代会長となり、1950年まで務める。

1948年: 　3月、ニューヨークのホイットニー・アメリカ美術館で、現存作家として初の回顧展が開かれ、131点の作品が展観される。

1949年: 　オークランドのミルズ・カレッジの客員教授となる。

1950年: 　ダルス・ブランチのミネソタ大学の夏期客員教授となる。; 　メトロポリタン美術館主催の「今日のアメリカ絵画1950年展」で『鯉のぼり』が3等賞を受賞。

1951年: 　オハイオ州立大学の客員教授となる。

1952年: 　第26回ヴェニス・ビエンナーレ展のアメリカ代表の一人に選ばれて出品。

1953年: 　5月14日、ニューヨークの自宅で胃潰瘍のため死去。63年の生涯を閉じる。

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