奈良美智

なら　よしとも

Nara Yoshitomo

1959年〜

青森県弘前市

作家・作品ジャンル

奈良美智／現代アーティスト（現代美術作家、画家、彫刻家）
　1959年青森県生まれ。87年愛知県立芸術大学修士課程修了。88年渡独、デュッセルドルフ芸術アカデミーでマイスターシュウラーを取得。目元が特徴的な少女のドローイングが有名。13年個展「奈良美智：君や僕にちょっと似ている」で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。絵画、彫刻、大規模なインスタレーションなど多様な作品を世界中で発表中。

History

1959年: 　青森県弘前市に生まれる。美智（よしとも）という名前は、同年にご成婚された皇太子（当時）、美智子妃殿下にあやかってつけられたもの。絵を描くのが好きな子どもで、保育園時代は仲良しの誰かを誘って抜け出しては、絵を描いていた。

1966年: 　文京小学校入学。習字で文部大臣賞を受賞。絵でもたくさん賞を受賞している。

1972年: 　弘前市立第三中学校入学。絵はあまり描かなくなり、音楽のフリーペーパーをひとりでつくったり、冒険小説を書いたりしていた。

1975年: 　弘前高校入学。ロックとラグビーにあけくれ、自他共に認める不良少年期を過ごす。

1977年: 　東京造形大学彫刻科に合格するも、「自分が本当にやりたいのは絵なのだから、もっと真剣にやろう」と、入学を辞退。上京し、美大の予備校に通う浪人生活を送る。

1979年: 　武蔵野美術大学絵画科入学。すでに友人たちから「ドゥローイングの王者」といわれるほど、描くものさえあればいつも絵を描いていた。

1981年: 　武蔵野美術大学を中退し、学費が安いという理由から、愛知県立芸術大学に入学。絵画科油画専攻。

1984年: 　初個展「Wonder Room」開催。コラージュ的な絵画作品とインスタレーションで構成された。絵には初期作品に特徴的な家のモチーフが多く描かれ、展示の中央にも小さな家が置かれていた。

1985年: 　愛知県立芸術大学卒業、修士課程に進む。

1987年: 　修士課程修了。修了作品『There being Innocent』は最優秀作品として大学の買い上げになった。

1988年: 　ドイツに渡り、1993年まで国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに在籍。当時、新表現主義絵画の旗手として知られたA・R・ペンクに師事する。18世紀以来の歴史をもつ同アカデミーは、多くの才能あるアーティストを輩出した名門。アカデミーに在籍するかたわら、美術史はもちろん、ヨーロッパ歴史などに触れ、美術、哲学、音楽の強固で層の厚い伝統を知る。

1993年: 　A・R・ペンクよりマイスターシュウラーを取得。; 　ギャラリーユマニテ東京で、東京で初めての個展を開催。

1994年: 　ドイツのケルンで制作活動をスタート。

1995年: 　奈良自身が日本での実質的なデビュー展と語る、東京・SCAI THE BATHHOUSEでの個展「In the Deepest Puddleー深い水たまり」開催。森北伸ら愛知の友人たちの手を借りてつくった巨大な犬の立体作品と、奈良の代表作に特徴的な、少し下からにらみつける子どもの絵を多数出品し、アート界以外の観客もひきつけ、日本でブレイクする。; 　アメリカ・サンタモニカのBlum&Poe（ティム・ブラムとジェフリー・ポーが運営するロサンゼルスのギャラリー。現在はハリウッドに拠点を置く）で、アメリカの初個展「Pacific Babies」を開催。ティムは以前、東京のギャラリーで働いていた日本通で、奈良・村上隆らによる日本の新しいアートシーンをアメリカで精力的に紹介したキーパーソンである。

1998年: 　吉本ばななの小説「ひな菊の人生」に、コラボレーション的に挿絵を提供。

1999年: 　吉本ばななの小説「ハードボイルド／ハードロック」の表紙と挿絵を描く。; 　スエーデン映画「ロッタちゃんはじめてのおつかい」イメージポスターのドゥローイングを描く。「ロッタちゃん」は大ヒットロングラン上映となる。

2000年: 　アニメや漫画に代表される現代日本特有のサブカルチャーと伝統的な屏風絵の再評価を軸に、村上隆が文脈化した新しい日本現代アート論「スーパーフラット」展参加のため、一時帰国。

2003年: 　奈良の初期作品には家のモチーフがしばしば見られ、古材でつくった小屋を展示室とする試みもなされてきたが、2003年の「S.M.L.」展を皮切りに、graf（建築家やプロダクトデザイナー、大工、家具職人からなる大阪を拠点としたデザイン集団）と協働して、廃材を使った本格的な小屋制作に取り組み始める。同展では、S.M.L.の3つのサイズの小屋を建て、中で作品の展示やイベントを行った。; 　個展やグループ展参加のたびに小屋は多様化し、規模もスケールアップ。こうして多数生まれた小屋を集めてひとつの街並みをつくろうとしたのが2006年の「A to Z」展である。

2006年: 　奈良の故郷・青森県弘前市にある、吉井酒造煉瓦倉庫を舞台に、大勢のボランティアの手で実現した集大成的な展覧会「A to Z」展開催。

2010年: 　翌2011年にかけて、ニューヨークのアジア・ソサエティ・ミュージアムで個展「Nobody’s Fool」開催。東海岸で始めての大型展で、初期作から回顧的に作品を紹介し、新作のコーナーはgrafと展示空間を制作。レコードジャケットのコーナーをつくるなど、制作のルーツも掘り下げて紹介した。; 　新楽の陶芸家との出逢いをきっかけに、セラミック・ワークを開始。

2012年: 　横浜美術館で個展「奈良美智：君や僕にちょっと似ている」開催。東日本大震災後、土との根源的な制作に立ち戻り、初のブロンズ彫刻制作に挑戦。

2013 年: 　芸術選奨文部科学大臣賞受賞。個展「奈良美智：君や僕にちょっと似ている」が評価対象。初挑戦したブロンズ彫刻を含め、震災以降の作品で構成された同展は、実績に甘んじることのない創作意欲と新境地を示す展覧会として高く評価された。

▼参考文献

Amazon.co.jp - 奈良美智美術手帖全記事1991-2013 (BT BOOKS)

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