シェリー窯はイギリスの名窯として知られ、40種類以上の個性的なシェイプと、草花や果実などをモチーフにした、繊細で華やかな絵付けで人気を博しました。
1700年代初頭、イギリス・スタッフォードで「フォリー窯」として創業。
1853年に、ヘンリー・ワイルマンとジョン・ナイトがフォリー窯の共同経営者になり、
1856年、ジョン・ナイトが退き、ヘンリーワイルマンが継承する。
1872年、社名をワイルマンに改名。ジョセフ・シェリーが共同経営者となる。
1910年に、ジョセフ・シェリーの息子、パーシー・シェリーが経営者となり、シェリーのバックスタンプを使用し始める。
1925年、社名をシェリー窯に改名する。
このように、社名が変わっているため、コレクターの間では、「シェリーワイルマン」と呼ばれ、バックスタンプでワイルマン期とシェリー期で区別されています。
シェリー窯の最盛期は、1925年から1940年代。
最盛期には、ヨーロッパ、カナダ、アメリカへ輸出され、ロンドンにショールームを構えたり、オーストラリアとアメリカにも代理店を置き、瞬く間にその名が世界中に広まりました。
1925年に開催されたパリ万博で巻き起こった、「アール・デコ」ブーム。
1920年まで流行していた、柔らかな曲線や、植物や動物などの有機的なモチーフを装飾的に用いる「アール・ヌーボー」様式と一変し、直線や鋭角的な模様、大胆な色使いが特徴の新しい様式は、世界中のアート、ファッション、建築に多大な影響を与えました。
シェリー窯からも、アール・デコの影響を色濃く受けた「クイーンアンシェイプ」が発売され、一大ブームとなりました。
第二次世界大戦後、1946年に再開されましたが、経営不振のため1966年に閉窯。
シェリーの閉窯の原因は、消費者の好みの変化についていけなかったとか、職人たちが芸術性を追求しすぎたため、採算が合わなくなったと言われています。
現代でも世界中にコレクターがおり、シェリー窯の製品は、年々貴重なものになっています。
1853年 ヘンリー・ワイルマンとジョン・ナイトが共同経営者になる
1856年 ジョン・ナイトが退き、ヘンリー・ワイルマンが継承
1860年 陶器工場を建設
1864年 ヘンリー・ワイルマン死去。息子のジェイムスとチャールズが継承
1870年 チャールズ・ワイルマンが退く
1872年 社名をワイルマンに改名。ジョセフ・シェリーが共同経営者になる
1884年 ジェイムス・ワイルマン死去。シェリー一族にが継承する
1896年 ジョセフ・シェリ―死去。息子のパーシー・シェリーが継承
1910年 シェリー印を使用し始める
1925年 社名をシェリーに改名
1929年 パーシー・シェリーの息子が継承
1937年 パーシー・シェリー死去
1945年 陶器製造中止を決定する
1966年 閉窯
1971年 ロイヤル・ドルトンに買収される