円山応挙

まるやまおうきょ

Maruyama okyo

1733年〜1795年

丹波国桑田群穴太（あのう）村（現・京都府亀岡市曽我部町穴太）

作家・作品ジャンル

画家

円山応挙（まるやまおうきょ）／絵師
江戸時代後期に京都で活躍した日本の絵師。
農家に生まれ、呉服屋に奉公。のち、玩具商で働く。
写生を基盤に画中世界を本物らしく描くことに長けており、ふわふわとした雪が象徴的な『藤花図屏風』（国宝）、脚のない幽霊が描かれた『幽霊図』などが有名。
「円山・四条派」と呼ばれるひとつの潮流を生み、、京都画壇のスタンダードを築いた。

History

1733年: 　5月1日、丹波国桑田群穴太（あのう）村（現・京都府亀岡市曽我部町穴太）の農家に生まれる。農民・円山藤左衛門の次男。

1747年: 　四条新町の呉服屋「岩城」に奉公。のち、四条富小路の玩具商、尾張屋中島勘兵衛の店で働く。

1749年: 　狩野派の絵師・石田幽汀（いしだゆうてい）に弟子入りし、本格的に絵の勉強を始める。; 　狩野派は室町時代に始まり、武家の下で御用絵師として活躍した日本画の一大潮流。ここで、応挙は主流の画法を身に着ける。

1759年: 　尾張屋の店で眼鏡絵を描く。; 　眼鏡絵とは、江戸時代に長崎を通じて輸入された覗機械（のぞきからくり）に使用される絵のこと。18世紀の「オランダ銅板画」画法によるもので、西洋の写実的な透視遠近法・陰影法を用いており、まるで風景が絵の中から浮き出たように見えるということで面白がられていた。

1765年: 　『淀川両岸図巻』（アンカンシエール美術財団蔵）、山水図襖（滋賀・園城寺蔵）を制作。;

1766年: 　名を「応挙」と改める。

1768年: 　『七難七福図巻』（重要文化財／京都・相国寺蔵）制作。

1769年: 　『雪中山水図屏風』（京都・相国寺蔵）制作。

1773年: 　『雪龍図屏風』（重要文化財／個人蔵）制作。

1776年: 　『藤花図屏風』（重要文化財／東京・根津美術館蔵）、『雨竹風竹図屏風』（重要文化財／京都・圓光寺蔵）制作。; 　『藤花図屏風』は総金地に2本の藤のみを描いたもので、大画面作品のうちでも装飾的傾向が強い。幹や蔓は輪郭線を用いずに刷毛で一気に描かれている一方、葉や花房は極めて精妙に描かれている。藤は蔓性の木本であり、ほかの樹木などに巻き付いて成長するが、本図ではそうした藤を支持するものはあえて省略されており、複雑に絡み合う樹形の立体的な造形は、応挙の写実様式の真骨頂とも言える。

1784年: 　朝顔狗子図杉戸（あさがおくしずすぎと）絵（東京国立博物館蔵）制作。本図はもと尾張・明眼院の障壁画で、板戸に描かれた珍しい画。朝顔が清新な可憐さを添えている。; 　応挙は動物の子どもを描くのが得意で、まるで本物の動物がそこにいるかのような質感描写がきわだっている。中でも応挙の狗子図は人気で、現在でも多くの掛軸の作例が伝来している。

1786年: 　『波上群仙図襖』（重要文化財／和歌山・無量寺蔵）、『雪松図屏風』（国宝／東京・三井記念美術館蔵）制作。; 　『雪松図屏風』は、応挙作品の中で唯一国宝に指定されている画。冬の朝を思わせる金泥の背景に、雪の積もった3本の松が描かれている。; 　応挙は「写生」ということで実物に見えるような描写を追求しており、積もる雪を、「白い紙の地を塗り残す」ことで表現している。紙の白さをそのまま生かし、境界のぼかしや薄く描きこまれた松葉を加えることで、新雪のふわふわした質感を見事に表現している。

1787年: 　南禅寺帰雲院、讃岐・金刀比羅宮、但馬・大乗寺の障壁画を制作。

1788年: 　障壁画『波濤図（はとうず）』（亀岡市・金剛寺蔵）制作。

1790年: 　『幽霊図』（京都・大統院蔵）制作。身体の細さに比べて顔が異様に大きく前に突き出ており、髪はところどころ乱れ、口は大きく裂けて上を向いている。解剖学や人相学についても詳しかった応挙だからこそ、人間の自然なバランスを崩すことで、この世のものとは思えない異様な雰囲気が感じられる絵となっている。; 　一般に、応挙は「脚のない幽霊の絵を初めて描いた」と言われているが、実際には17世紀末の浄瑠璃（じょうるり）本の挿絵に脚のない幽霊が描かれていることが確認されている。

1793年: 　眼病を患い、制作に支障をきたす。

1795年: 　『松に孔雀図襖』（重要文化財／兵庫・大乗寺蔵）制作。大乗寺客殿の仏間の前室、金地の襖絵に孔雀と松を墨だけで描いた。彩色はないが、光の反射反射具合で青みを帯びる「松煙墨」という特別な墨を使用し、濃淡だけで金のゆらめきを微妙に変化させている。自然界には存在しない黄金空間で、松の下で遊ぶ孔雀たちは、神聖な雰囲気を醸し出している。　; 　応挙は、松樹の幹を部屋の角の柱の位置に持っていくことで、二方向に広がる枝葉で室内に立体的な奥行きを生み出した。さらに、仏間の襖を開けると松の枝が隣接する襖の枝に自然につながり、孔雀同士の視線が戯れるような、建築と一体となった視覚のトリックを試みている。部屋のどこにいても襖を開閉しても破綻することのない絵画は、絵画内の空想空間と鑑賞者のいる現実の空間を融合して、より大きな空間を創造している。; 　7月17日、63年の生涯を閉じ、四条大宮西入ル悟真寺（現在は太秦に移転）に葬られる。; 　写生を基礎とする応挙の画法は、息子の応瑞（おうずい）ら弟子たちに引き継がれ、さらに明治、大正、昭和を生きた近代の日本画家へと繋がっていく。応挙率いる「円山派」、応挙を敬愛して止まなかった呉春（ごしゅん）率いる「四条派」。応挙とその一派は「円山・四条派」と呼ばれるひとつの潮流を生み、京都画壇のスタンダードを築いた。

▼参照サイト

・https://intojapanwaraku.com/art/19811/

・http://www.daijyoji.or.jp/main/maruyama01.html

・https://www.hakkoudo.com/weblog/2021/01/29/0108/

▼参照図書

・いちからわかる円山応挙 (とんぼの本)

・もっと知りたい円山応挙生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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