「解体まであと一週間に差し迫った旧家と隣接された土蔵に先祖が所蔵した古道具や掛軸・骨董品があるので解体前に買取出来る物があれば現金化してほしい」とご依頼頂き滋賀県、高島市にあるご自宅までお伺いさせて頂きました。

査定の結果、江戸時代末期に制作された朽木盆(朽木塗)の菊盆、伊万里焼きの食器、ガラス製品(ギヤマン)仏画(曼荼羅)の掛軸、茶道具などおよそ50点を弊社にご売却頂ける事になりました。

ご紹介のお写真は今回の出張買取でお譲り頂いた朽木盆(朽木漆の菊盆)です。

朽木漆 朽木盆

朽木漆、朽木盆は江戸時代の寛永(1624年〜1645年)から明治38年(1905年)まで近江国朽木(滋賀県高島郡朽木村)で天皇領の杣山の山村で特別に伐採された木材で制作した盆や汁次などの漆器の事です。

木工轆轤の技術は、近江国小椋ノ庄(現在の滋賀県東近江市、蛭谷町、君ヶ畑町)の木地師惟喬親王が伝承したとされており。その為、格式の高い16弁の菊の花紋を描くことを許されたという言い伝えがあるそうです。

杇木産の漆器は江戸時代〜明治時代をつうじて将軍、大名、茶人から庶民にまで広く愛用されていたようです。朱や黒の漆が塗られた木地に16弁の花びらが描かれた菊型花紋と底部分に指が入るように曲線に作られた丸型の盆が広く認識されているが、それ以外にも無地の盆や椀、片口など食器を中心に幅広く制作された。

朽木塗は、江戸時代初頭から明治時代まで、幅広いジャンルの文献(地誌、紀行文、小説、指南書)などに紹介されている事から朽木盆が当時、全国各地で有名ブランドの地位を獲得していた事がわかります。

松尾芭蕉が延宝3年、32歳の時に制作した俳句にも朽木盆が登場しています。

『盃の下ゆく菊や朽木盆』

盃に溢れた酒が朽木盆になみなみとこぼれ、その様子が養老の滝から流れ出た川の中を流れる菊花のようだ。

 貴重なお品物をあい古物買取サービスにお譲り頂き本当にありがとうございました。必要とされている方に確実に橋渡しさせて頂きます。

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