日本生まれのフランスの画家・彫刻家。
猫と女を得意な画題とし、日本画の技法を油彩画に取り入れた。
生涯にわたり世界各地を旅し、「乳白色の裸婦像」や「戦争画」を多く残す。
猫と女を得意な画題とし、日本画の技法を油彩画に取り入れた。
生涯にわたり世界各地を旅し、「乳白色の裸婦像」や「戦争画」を多く残す。
藤田嗣治／レオナール・ツグハル・フジタ（レオナール・フジタ）
ふじた つぐはる
Fujita Tsuguharu
1886年〜1968年
東京都
- 作家・作品ジャンル
- 1886年
- 東京府牛込区（現在の東京都新宿区）新小川町の医者の家に4人兄弟の末っ子として生まれる。父・嗣章（つぐあきら）は、房州長尾藩の士族出身で軍医となり、森鴎外の後任として陸軍軍医総監にまで昇進した人物。
- 1890年
- 父の転勤に伴い熊本県池田村へ。幼い頃から絵が得意で手先も器用、古い絵本や絵草紙を見るのが好きで、中でも葛飾北斎の版画を好んでいたそう。
- 1897年
- 東京に戻り、東京高等師範附属中学校（現・筑波大学附属中学校・高等学校）に入学・卒業。住まいに隣接する教会の宣教師から受け取る泰西名画の印刷物、父や義兄から送られる海外土産など、西洋文化に触れる中で憧憬を深めていった。
- 同時に、江戸の気配が残る明治・東京での記憶が、後年の藤田作品に表象される「日本」を形成したと言われている。
- 1905年
- 父経由で森鴎外の助言に従い、東京美術学校（現・東京藝術大学美術学部）西洋画科に入学。日本画・洋画・彫刻の基本的な手ほどきを受ける。
- 1910年
- 東京美術学校西洋画科本科を卒業。
- 1913年
- 26歳で渡仏。
- パブロ・ピカソやアメデオ・モディリアーニらと知り合い、キュビスムなど前衛美術を知る。また、
- ピカソを通じて画家アンリ・ルソーの作品からも影響を受ける。
- フジタはキュビスム風の静物画や人物画を多数制作したと伝えられるが、1914年に始まる第一次世界大戦の混乱に際し、その多くを損失してしまったため、現在知られている作品は少ない。
- パブロ・ピカソやアメデオ・モディリアーニらと知り合い、キュビスムなど前衛美術を知る。また、
- 1917年
- パリのシェロン画廊で初個展を開催。「子供」「少女」「キリスト教関係」「風景」をテーマとした水彩画およびデッサン110点余りを出品。風景画で高い評価を得て画商との契約ができるようになり、画家として軌道に乗り始める。
- フジタの風景画は「冬の真珠のような」トーンの空や道が広い面積を占めており、画面のモノクローム化、「図」ではなく「地」の部分の強調は、やがて「乳白色の下地」スタイルに展開していく。
- 1919年
- 第一次世界大戦後、5年ぶりに再開されたサロン・ドートンヌに出品した6点の絵画すべてが入選し、パリ美術界への公式デビューを果たす。
- この時期に描かれた人物像の引き伸ばされた身体と憂いある表情はモディリアーニを想像させるが、同地の中世宗教の影響も大きい。
- 10年代末は女性像や子供が主題の作品も多く、奥行きの浅い背景に不安げな表情で描かれている。
- この時期に描かれた人物像の引き伸ばされた身体と憂いある表情はモディリアーニを想像させるが、同地の中世宗教の影響も大きい。
- 1921年
- サロン・ドートンヌで発表した「私の部屋」「自画像」、初めての娼婦の出品作『横たわる娼婦と猫』など、滑らかな下地の上に繊細な線と薄塗りで繊細に描いた出品作が「グラン・フォン・ブラン」（素晴らしき乳白色）と絶賛され画家としての揺るぎない地位を確立。これを機にサロン・ドートンヌの審査員を務める。
- フジタは絵画技法の研究に熱心で、1920年頃に考案した「乳白色の下地」は黄みがかった灰色で、調査によれば鉛白と石膏または炭酸カルシウムを混ぜたものだそう。その上に面相筆を巧みに滑らせた黒線を描き、少量の油絵の具をたっぷりの乾性油で溶いて色を塗ると下地が透け、この「乳白色の下地」を活かすのが娼婦の肌だった。
- 1926年
- 自画像に猫が初登場。以降、自画像にはほとんど猫がセットになり、静物画も画家自身と猫が中心の「アトリエの自画像」に変化していく。
- おかっぱ頭、ロイド眼鏡、ちょび髭、猫は、フジタをアイコン化する道具となった。
- 1929年
- パリで開催された「日本美術展ー現代の古典派」で陳列委員長として参加。出品作「争闘」は男女の裸体群像を描いたもので日本の伝統文化を強調した展覧会の中では異質なものだったが、パリの美術界の中で『日本』を背負った存在になっていく。
- 同年、16年ぶりに帰国。朝日新聞社主催の「藤田嗣治展覧会」を開催。1925年のサロン・デ・テュイルリーへ出品した油彩画『舞踏会の前』を含む油彩および素猫53点、版画20点を出品。
- また、1928年に制作した『犬のいる構図』『ライオンのいる構図』2点の大作を出品したことで話題となる。
- 同年、16年ぶりに帰国。朝日新聞社主催の「藤田嗣治展覧会」を開催。1925年のサロン・デ・テュイルリーへ出品した油彩画『舞踏会の前』を含む油彩および素猫53点、版画20点を出品。
- 1930年
- アメリカ経由でパリに戻る。
- 『死に対する声明の勝利』のような写実的なシュルレアリスム風の絵画を描くようになる。
- 1931年
- 大恐慌をきかっけに中南米の旅に出る。
- 旅の道中、制作は移動のしやすさを考慮して、次第に紙を支持体とし、水彩と墨を併用した作品の数が多くなっていく。
- のち、アルゼンチンで個展を開催。『魚と三匹の猫』『自画像』『雪』の3点は、現在、アルゼンチン国立美術館の所蔵となっている。
- 旅の道中、制作は移動のしやすさを考慮して、次第に紙を支持体とし、水彩と墨を併用した作品の数が多くなっていく。
- 1933年
- 帰国。
- 1934年
- 銀座「ブラジル珈琲宣伝所」の壁画を制作。
- 1935年
- 大阪十合呉服店の食堂壁画、銀座コロンバン洋菓子店の天井画を制作。
- 1937年
- 秋田市の資産家・平野政吉から制作依頼を受け、高さ3.5メートル、幅20.5メートルの大壁画「秋田の行事」を描く。
- 1938年
- 軍からの注文を受け、戦地を取材し記録するために、中国大陸へ。
- 戦争記録画『南昌飛行場の焼打』『武漢進撃』は、戦闘機や兵士の名前まで画面に描き込んでいる。
- 1940年
- 第2次世界大戦の戦火迫るパリを脱出し、帰国。
- 『争闘（猫）』『猫のいる静物』などの作品を制作。
- 1941年
- 帝国芸術院会員に推挙。文化使節としてフランス領インドシナに派遣される。
- 多くの「作戦記録画」が制作された。
- 1943年
- アリューシャン列島アッツ島での全滅を受け、戦争画『アッツ島玉砕』を発表。
- 1946年
- 第一回日展第二部（西洋画）の審査員を委嘱されるが、「戦争画」を描いたフジタの戦争責任が問題となる。
- 戦争画は戦後GHQによって接収され、東京美術館に保管。1951年にはアメリカに運ばれるが、1970年に「無期限貸与」として日本に返還された。それら153点の「戦争記録画」は、東京国立近代美術館の所蔵。
- 1949年
- 戦犯の疑いが晴れ、ニューヨークへ。
- 戦後の代表作となった『カフェ』の背景は、カフェの看板などからパリ時代の自作を転用したと思われる。
- 1950年
- パリに戻り約20年ぶりの個展を開催。望外の評価を得て、順調な再出発を果たす。
- 1955年
- フランス国籍を取得。
- 1959年
- シャンパーニュ地方・ランスの大聖堂でカトリックの洗礼を受ける。洗礼名「レオナール」はレオナルド・ダ・ヴィンチにちなむ。
- 『レオナルド・フジタ』と署名された最初の作品『聖母子』は、フランス大聖堂に納められた。
- 1966年
- 洗礼を受けたランスに礼拝堂「ノートル・ダム・ドゥ・ラ・ペ」の建堂と装飾に病身をとおして取り組む。
- フレスコ画の技法を体得し、キリストの受難から復活までの生涯の旅をテーマに、ブドウ畑などランス地方色を取り入れ壁画制作に腕をふるった。
- 堂内には、諸世界をめぐる旅を終えたフジタが、最後の壁画に吹き込んだ想いが満ちている。
- フレスコ画の技法を体得し、キリストの受難から復活までの生涯の旅をテーマに、ブドウ畑などランス地方色を取り入れ壁画制作に腕をふるった。
- 1968年
- 1月29日、81歳で死去。スイス、チューリッヒにて没。墓所はランスの「ノートル・ダム・ドゥ・ラぺ礼拝堂へ。
- 子孫のいない藤田は、自分が描いた子供たちをわが子のように愛したといいます。
- 「私の数多い子供の絵の小児は皆私の創作で、モデルを写生したものではない。 この世の中で見た小児の印象は忘れずに画の中に取り入れる事もあるが、本当にこの世の中に存在している子供ではない。 私一人だけの子供だ。私には子供がない。私の画の子供が、私の息子なり娘なりで一番愛したい子供だ。」
- 子孫のいない藤田は、自分が描いた子供たちをわが子のように愛したといいます。
あい古物買取サービスでは
骨董品、古道具、美術品、コレクション品の
出張買取をしています。
骨董品、古道具、美術品、コレクション品の
出張買取をしています。
京都、滋賀、奈良、大阪、兵庫、三重、岐阜、愛知、福井を中心に、ご自宅まで出張査定にお伺い致します。※ 良品は全国出張買い取り可能です。
どんな些細な事でもかまいませんのでまずは一度お電話にてご相談下さい。
あい古物買取サービスでは骨董品や古道具のリサイクルを通して、古い文化を次世代に残し伝えるとともに、微力ながら持続・再生可能な社会作りに貢献したいと考え活動しています。
