須田国太郎

すだ　くにたろう

Suda Kunitarou

1891年〜1961年

京都市

作家・作品ジャンル

画家

須田国太郎／洋画家
　京都帝国大学で美学美術史を学んだ後、同大学院で「絵画の理論と技巧」を研究。のち、関西美術院でデッサンを学ぶ。1919年、渡欧し、模写・研鑽を積みながら、西洋美術を研究する。1933年以降、京都帝国大学文学部、京都市立美術大学、京都工芸繊維大学、京都学芸大学などで後進を指導。「黒の画家」として知られ、代表作は『犬』など。

History

1891年: 　京都市に生まれる。

1897年: 　京都市日彰小学校（4年制）入学。

1901年: 　京都市日彰小学校卒業。京都市第五高等小学校（4年制）入学。

1904年: 　京都市第五高等小学校3年修了後、京都府立京都第一中学校に入学。この間、図画を横山常五郎に教わる。

1910年: 　第三高等学校一部丙類に入学。

1913年: 　京都帝国大学に入学。深田康算教授の薫陶を受けてドイツ美学の研究に没頭。卒業論文の題目は「写実主義」で、ヨーロッパ芸術が抱えているリアリズムの問題を純粋に美学上の問題として取り扱っている。; 　後年の絵画理論もこの頃の研究の上に築かれており、ドイツ的教養が濃く反映されている。

1916年: 　京都帝国大学文学部哲学科（美学美術史専攻）を卒業、大学院に進学。研究は「絵画の理論と技巧」へ進展していく。

1917年: 　関西美術院に入塾。沢部清五郎、都島英喜からデッサンを学ぶ。

1918年: 　京都帝国大学大学院を退学。

1919年: 　インドを経て渡欧。ロンドン、パリを経てスペインの首都マドリッドに到着。以降、ここに居住。ヴェネツィア派やスペインの大家の作品を模写、研鑽を積む一方で、ヨーロッパ各地に出かけて美術研究を続ける。

1923年: 　帰国。学究生活に戻る。

1925年: 　和歌山高等商業学校講師となり、美術史を教える。

1928年: 　関西美術会展覧会に『丘上の村（モヘンテ）』出品。

1932年: 　京都帝国大学文学部講師となり、「ギリシア彫塑史概説」を教える。; 　東京・銀座資生堂で初めての個展を開催し、『法観寺塔婆』（東京国立近代美術館蔵）など30点と模写7点を出品。『法観寺塔婆』は、ある夏の午後、驟雨があがった後の、背後の黒ずんだ山の前に白く浮き出た京の名塔「八坂の塔」を描いたもの。絵画理論で言う「原像」、大学時代に読んだシュリングの感化が濃く反映されている。

1933年: 　和歌山高等商業学校講師を辞任。京都帝国大学の本年度講座で「ギリシア彫塑史概説」を続講。; 　独立美術京都研究所が開設され、学芸指導にあたる。

1934年: 　京都帝国大学講師を辞任。; 　独立美術協会会員となり、第4回独立展に『法観寺塔婆』『唐招提寺礼堂』など16点を出品。「黒の画家」として知られる重厚な画風は、高い評価を得ていく。; 　独立美術京都研究所で実技を指導。

1936年: 　京都帝大学文学部講師となり、「バロック絵画」を教える。

1940年: 　第10回独立展に『海亀』などを出品。『海亀』は、京都動物園にいた青海亀を水面から見下ろした図で、甲に苔が生え黄色の頭や手足は黒ずんでいる老海亀と、水の緑の対比が美しい。; 　紀元二千六百年奉祝美術展に『歩む鷲』（東京国立近代美術館蔵）を出品。高台寺の椎、南禅寺の白檀、藤森の菩提樹のスケッチなどをもとにした構図の上に、動物園で写生した狗鷲（いぬわし）の歩く姿が描かれている。

1942年: 　第3回独立展に『冬』『夏』を出品。; 　生産美術協会発表にて理事に就任。

1946年: 　京都美術懇話会が設立され、会員となる。; 　菊花女子専門学校・京都帝国大学工学部講師となり、絵画実技を教える。

1947年: 　帝国芸術院会員に選ばれる。; 　第15回独立展に『叢』出品

1948年: 　菊花女子専門学校を退き、京都市立美術美術専門学校講師となる。; 　第16回独立展に『脱衣』を出品。

1949年: 　京都大学文学部講師となり、「ルネッサンスからバロックへ」を開講。; 京都市立美術専門学校客員教授となる。; 　第17回独立展に『岬』を出品。独立展が開かれるようになってから、『叢』『脱衣』『岬』など、「色がなくなる」とか「黒くなりすぎる」という問題に悩まされる。

1950年: 　京都大学工学部講師を退き、京都工芸繊維大学工芸学部講師となる。; 　京都市立美術大学教授および同美術専門学校教授、奈良学芸大学講師となる。; 　シベリア犬を描いた『犬』（東京国立近代美術館蔵）の制作を転機として、墨色を大胆に扱い、色を抑えることに成功。白く輝いている中景との対比で、犬の黒が美しく映えていると同時に、赤い目が際立っている。

1952年: 　京都大学工学部講師、京都市立美術専門学校教授を辞任。京都学芸大学講師となる。; 　京都国立博物館評議員となる。

1953年: 　第21回独立展に『真名鶴』『走鳥』『犬鷲』を出品。

1956年: 　京都学芸大学講師を辞任。京都市立美術大学学長代理となる。; 　第28回ヴェネツィア・ビエンナーレ展出品者に選ばれ、『海亀』『歩む鷲』『犬』などを出品。

1957年: 　吐血し、自宅療養。一時、回復の兆しを見せるが、再び吐血し、兄弟病院に入院。; 　京都市立美術大学学長代理を辞任。

1958年: 　奈良学芸大学講師を辞任。

1959年: 　関西画壇の向上に貢献した功績により、毎日新聞社賞を受賞。

1960年: 　京都市立美術大学教授を辞任、同大学名誉教授の称号を受ける。; 　京都国立博物館評議員を辞任。

1961年: 　肝性昏睡のため、京都大学病にて70年の生涯を閉じる。従四位、勲三等に叙せられる。

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