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画家

黒田清輝

くろだせいき

Seiki Kuroda

1866年〜1924年

鹿児島県高見馬場

作家・作品ジャンル

画家

黒田清輝／画家
　日本に西洋絵画を根付かせた功労者。フランス人画家のラファエル・コランに師事し、明るい外光を取り入れた印象派的な手法を会得。『朝妝』で注目を集める。1896年、美術団体・白馬会を結成、東京美術学校講師に就任し西洋画科の指導者となる。後年は絵画制作のかたわら、貴族院議員や帝国美術院長などを歴任し、美術行政家として活躍した。

History

1866年: 　鹿児島県高見馬場に生まれる。幼名、新太郎。父は、島津藩士・黒田清兼。

1871年: 　伯父・黒田清綱の養嗣子となる。

1872年: 　上京し、外務省付属学校にて国史略や欧文習字を学ぶ。

1873年: 　3番小学校（現・赤坂小学校）入学。

1875年: 　鹿児島に帰省する。

1876年: 　下等小学校第1級卒業。

1877年: 　名を「清輝」と改める。; 　平川小学校入学。

1878年: 　高橋由一の門人・細田季治につき、鉛筆画ならびに水彩画を学ぶ。

1879年: 　小学校尋常科1級前期および後期を卒業。温習生として在学する。

1880年: 　元平川校校長・斎藤竹海の塾で漢学を学び、また二松学舎に通学する。

1881年: 　神田共立学校入学。のち、築地英学校に転校する。

1882年: 　井田鐘次郎にフランス語を学ぶ。

1883年: 　寺尾寿にフランス語を学ぶ。外国語学校フランス語科の入学試験に合格し、2年級に編入。

1884年: 　フランス留学。パリのアンスティチューション・ド・ゴッファールに入学。その後、約10年間、フランスで過ごす。

1885年: 　リセ・ジンソン・ド・サイイに入学。

1886年: 　ミルマンの私塾に入り、法律大学校に聴講。パリ滞在中の山本芳翠、藤雅三、林忠正に画家になることをすすめられ、フランス人画家のラファエル・コランに師事。正式に木炭画の習練を始める。

1887年: 　1月、法律学校に入学。; 　10月、法律大学を退学。アカデミー・コラロシイ内のコラン研究所で絵画を専修。

1888年: 　アカデミー・コラロシイで油絵習作を始める。; 　エコール・デ・ボザールにて美術解剖学を聴講。

1891年: 　ソシエテ・デザルティスト・フランセのサロンに『読書』入選。『読書』は初期の代表作で、鎧戸（よろいど）のある室にななめ左向きに椅子に座った若い婦人が、左手に本を持ち、右手で頁をめくりながら読書している姿を写した作品である。人体描写の確実さに加えて、鎧戸を通して差し込む光線が人物の顔や衣服の上へ落ち、それが微妙な反映を示している表現を見ると、この頃の黒田が、完全に外光派の手法を会得していたことがわかる。

1892年: 　明治美術会第4回展に参考品として『読書』を出品。

1893年: 　ソシエテ・ナショナル・デ・ボザールのサロンに『朝妝』（第二次世界大戦で消失）を出品、入選。『朝妝』は等身大の大作で、目覚めたばかりの若い婦人が裸形のまま鏡の前に立って、髪をくしけずっている図である。素描の正確さ、色調の端麗、典雅さは、この裸体画を極めて上品なものとし、黒田の滞仏10年の結晶というべきものである。; 　帰国。

1894年: 　洋画の指導研究所として天真道場を設け、後進を指導する。; 　明治美術会第6回展に『朝妝』出品。明快な外光派的画風によって注目を集める。; 　日清戦争に従軍。

1895年: 　2月、従軍より帰国。; 　3月、第4回内国勧業博覧会審査員となり『朝妝』を出品。しかし、この作品が大衆の集まる場所に日本では初めて展示された裸体画だったために、展示の賛否両論を起こした。

1896年: 　東京美術学校講師に就任、西洋画科の指導者となる。; 　白馬会を創立。白馬会は、以降1910年までほとんど毎年展覧会を開催し、明治美術会およびその後身である太平洋画会とならんで、洋画の発展と普及に努めた。

1897年: 　白馬会第2回展に『智感情』『湖畔』など17点出品。『湖畔』ではよどみない油彩技法と外光派的手法によって、日本的な油彩画を完成させている。

1898年: 　東京美術学校教授となる。その後、逝去するまでの長い間、主任教授として西洋画を指導したばかりでなく、同校の発展に尽くした。

1899年: 　白馬会研究所を溜池に設け、実技のほかフランス語・美術史などを教える。; 　臨時博覧会監査官となり、パリ万国博覧会出品を監査する。

1900年: 　美術制度、絵画教授法研究のため、1年間のフランス留学を命ぜられる。; 　パリ万国博覧会に『智感情』『湖畔』など5点出品し、『智感情』が銀賞を受賞。黒田の油彩画中唯一の入賞作品となる。

1902年: 　文部省より普通教育における図画取調委員を命ぜられる。

1903年: 　第5回内国勧業博覧会審査員を命ぜられる。; 　米国セントルイス万国博覧会のための臨時博覧会審査官を命ぜられる。

1904年: 　白馬会第2研究所を本郷菊坂に置く。

1906年: 　学習院女学部講師嘱託。

1907年: 　東京勧業博覧会審査官嘱託。; 　文部省美術審査委員会委員を命ぜられる。

1908年: 　文部省第2回美術展覧会に『春の名残』『テーリー氏肖像』『樹かげ』を出品。この頃から裸婦にかわって、少女や農婦や漁夫を、畑や裏庭、海辺に立たせてたびたび描いている。この鋭い自然観照と精彩あるタッチと色彩とが、黒田を肖像画家としても名を成さしめた所以である。

1909年: 　第3回文展に『鉄砲百合』『寺尾理学博士肖像』を出品。

1910年: 　第4回文展に『荒苑斜陽』を出品。; 　帝室技芸員を命ぜられる。

1911年: 　白馬会解散。; 　文展審査員となる（以後大正7年第12回まで毎年委員となる）。第5回文展に『百日紅』『夏草』などを出品。

1912年: 　光風会創立。光風会第1回展に『菊花』『習作』を出品。; 　第6回文展に『習作（赤い衣を着たる女）』『木苺』を出品。

1913年: 　国民美術協会会頭に推され、近代美術館の建設運動に尽力。; 　第7回文展に『菊花』『足立軍送監』などを出品。; 　宮内省調度寮嘱託となり写真関係事務を担当。

1914年: 　東京大正博覧会審査員となる。; 　第8回文展に『其日のはて』『漏るる日影』出品。

1915年: 　第9回文展に『跡見刀自肖像』出品。; 　; 1919年; 　国民美術協会会頭に再選。帝国美術院会員を命ぜられる。; 　第1回帝国美術展覧会（帝展）に『木村翁肖像』を出品。

1920年: 　貴族院議員に当選。

1921年: 　社会事業調査会委員に任命。外務省より情報部事務を嘱託。臨時教育行政調査会委員に任命。

1922年: 　フランス政府より、クロワ・デュ・コマンズール・エトワール・ノワル勲章を授与される。; 　帝国美術院長、教育評議会委員に任命。; 　印度支那協会会長に就任。

1923年: 　フランス政府より、コマンズール・ド・ロルドル・ナショナル・ド・ラ・レジョン・ドヌール勲章を授与される。; 　国民美術協会会頭に再任。

1924年: 　フランス政府より、グラン・クロワ・ドラゴン・ド・ランナン勲章を贈られる。; 　7月15日、叙従三位勲二等授旭日重光章、同日、東京麻布笄町の自宅で逝去。58年の生涯を閉じる。

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